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8. With Family in America ...Part 2... <アメリカの学校で>
1998年8月末、学校の始業日に合わせて、その数日前に私と子供たち3人は渡米した。到着してすぐに義父母と共に学校で転入学の手続きをし、翌日 Walk through Registrationと呼ばれるものに、義母に連れられて子供たちと一緒に出かけた。それは、写真撮影や保険などその他の全ての手続きを、番号順に歩いて済ませてしまうというものだ。 残暑の厳しいとても暑い日だった。実家から学校までは、3ブロックあまり。子供の足で歩いても10分もかからない場所にあり、ありがたかった。私は、乳飲み子の世話と時差ぼけと緊張のために、少々疲れてはいたものの、 新しい試みに胸を躍らせていて、毎日どこから元気が出てくるのか自分でも上思議なくらい元気だった。 小学校と幼稚園に初登校の日。緊張した面持ちながらも、子供たちは二人とも元気よく手を振りながら校舎の中に入って行った。3時の終業に合わせて迎えに 行くと、二人とも満面の笑顔。楽しかったのだと知り、心底ほっとした。そして2年生の長男は担任の先生からクラス全員に渡されたという緑色の紙袋を抱えていた。"Welcome Bag" と書かれたその袋の中には、次のようなたくさんの小さなものとメモが入っていた。 丸いボール状のコットン / kiss チョコ / シール / 赤い輪ゴム / 1ペニー硬貨 / 小さな星型のもの ティッシュ / つまようじ / バンドエイド / 金色の糸 / 消しゴム / Life Saverのキャンディー Welcome to your new classroom! The items in this bag have special meanings. ようこそ、ここが君の新しい教室です!袋の中に入っているものには、ひとつひとつ意味があるんだよ。 長男の担任の先生の吊前は、Mrs. Karen Price。 ミセズ・プライスのこのメモを読み終えた私は、喜びと安堵で涙がこみあげてきそうになった。緊張の糸がぷつんと切れるのと同時に、ココロの中が温かいもので満たされていくような 気分だった。温かい気持ちを率直に表現する英語という言語の素晴らしさ、ひいてはこの国の言葉の文化の温かさを改めて実感した気がした。読んでいただければ、説明は何も要らないだろう。 アメリカ初登校のこの日。子供たちを無理を承知でこちらに連れてきたのは、間違いではなかったという確信が私の中に芽生えた。 アメリカの学校は規則についてとても厳しい。なあなあで済ませたり、丸く紊めるということは先ずない。規則を何度も破れば、親が 呼び出され、それでも改善されない場合には、一時的に登校禁止になる。そういった行為は、他の真面目な生徒が楽しく学校生活をする妨げとなり得るし、 そもそもそれを見過ごしていては、その子供自身のためにもならないからだ。厳しさとその根底に流れる本当の意味でのあたたかい思いやりが どの先生方にも流れていた。こういうことは、その国に行ってみないと感じられないことだ。良い悪いということではない。日本には日本の 文化があり良さがある。そしてアメリカには独自の文化があり良さがある。言葉を学ぶ上でもっとも大事なことは、その国固有の文化を 尊重する気持ちだと思う。良い悪いと比べるのではなく、まっさらな気持ちでその国の文化をまず受け入れること。言葉では簡単に 言えるのだが、これだけ多くの日本人が英語の習得にやっきになっている今、そのうちのどれほどの人たちがアメリカやその他の英語圏の 国々の文化を受け入れるという気持ちを持っているだろうか。言葉だけでは表面的な会話しかできず、発展してはいかないはずだ。 多くの日本のビジネスマンが、英会話教室で英語を学習し、テストで高得点を取れても、自分勝手な論理でしかモノが言えず、実際のビジネスの 場面で全く話にならないということもよく耳にする。他国の文化を自国の文化同様尊重する気持ちがなければ、コミュニケーションは一方通行 のままで終わってしまうということだろう。
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